税務調査は何年遡れるのか?
税務調査は何年間分できるかという話
税金を無申告予定の人は
— ヌゥ (@nuuuuuuucrypto) 2018年3月13日
無申告は時効が7年と長くて、その時効も督促が来た時点でリセットで0から再カウントだから実質時効なんて無いようなものだってことを知ってるのかヌゥ。
ツイッターを見ていたら、仮想通貨の利益を申告しなかったらこうなるよ、ということが少し話題になってました。
その中でも特にヌゥさんのツイートの影響力がありそうだったので取り上げてみました。
ちょっと違うかな?と感じたところがあるので、今回は税務調査は何年間分できるのか、ということについて話したいと思います。
「賦課」と「徴収」の違い
いきなり本題に入る前にまず、「賦課」と「徴収」という言葉を説明します。
これを混同してしまうと正確に理解できないので面倒ですが是非読んでみてください。
賦課(ふか)とは
所得税は申告納税制度、つまり自分で所得と税額を計算して払う制度の税金です。
しかし、中には正しい額で申告していない人、そもそも申告をしていない人がいます。
それを正すために国税組織は税務調査をします。間違ったものを放置し続けると、正しい額の税金が払われないし、申告すること自体が損という印象を世間に持たれては困るからですね。
調査をした結果、正しい額で申告されていない場合、もしくは申告する必要があったのにしていなかった場合に、税務署は「更正」又は「決定」という処分をすることができます。
更正とは、「調査したら君の申告している額は違ったよ。正しい税額にするからね」というような強制的に税額を動かすことのできる処分です。
一方、決定とは「調査したら君は申告する必要があったよ。税額はこれくらいだからね」というように、無申告の状態から税額を発生させることのできる処分です。
このように国税サイドが調査などをして、国民(納税者と言います)に納税額を発生させる処分を総合して賦課(ふか)といいます。必ずしも調査が原因となるわけではありませんが、おおむねそんな感じなんだなという感じで覚えてもらえればと思います。
徴収とは
税額を発生させる処分を賦課といいました。
一方で、税金が発生していても全額払うことができなかったり、そもそも税金を払う気がない人がいます。
しかし、払うべき税金があるのに払っていない状態が続くのは国にとって都合がよくないので、それを取り立てる必要が出てきます。
その税金を取り立てること自体のことを徴収といいます。
賦課と徴収は担当する人が違う
税務署には、一般に調査部門と徴収部門という課みたいなものがあります。
同じ職員が同時に調査と徴収を担当することはありません。
調査をする職員、徴収をする職員をそれぞれ「調査官」「徴収官」といい、その中でも役職の違いによって少しずつ名前が異なります。
税務調査は何年遡れるのか?
更正決定(調査)には期間の制限がある
国税組織は申告された税額が正しいかどうかを調査する権限があります。
しかし、その権限がいつまでも行使できるというのは調査される側(国民、納税者)にとっては決してフェアな話ではないですよね。例えば、20年前の申告の内容が違うから追加で税金払ってください、ということにはならないはずです。
調査をした結果、税額を動かすことのできる処分のことを"更正又は決定"と言いました。
その更正又は決定については期間の制限があって、主に3年・5年・7年となっています。
その①:3年
「調査をした結果、申告された内容が違います」という場合には、最大で3年間遡って更正を受ける可能性があります。
通常は毎年申告していればその申告について、4年以上前の分を遡ってとやかく言われることはありません。そういう決まりだからです。
その②:5年
申告しなければならないところを申告していなかった場合については、最大で5年間遡って決定を受ける可能性があります。
申告している人と申告していない人、どちらが悪いかといえばそもそも申告していない人だろう、ということで期間が長めに設定されています。
その③:7年
申告していれば最大3年、申告していなければ最大5年と説明しましたが、そもそも税金をごまかすつもりで申告が正しく行われていなかった場合には、最大で7年間遡って更正決定を受ける可能性があります。
当然、不正を働くというのは犯罪の一種ですから、犯罪に対してはより厳しい処分をする必要があるよね、という発想です。
不正を働いていた場合については、通常の過少申告・無申告加算税の代わりに、重加算税という税率が重い加算税(罰金)がかけられることになります。
徴収は3~7年ではない
僕は徴収関係のことは詳しくないのですが、税金を納める義務というのは3・5・7年で時効が訪れるわけではありません。
税金を無申告予定の人は
— ヌゥ (@nuuuuuuucrypto) 2018年3月13日
無申告は時効が7年と長くて、その時効も督促が来た時点でリセットで0から再カウントだから実質時効なんて無いようなものだってことを知ってるのかヌゥ。
そのため、ヌゥさんのこのツイートは少し正確でなくて、無申告の場合は5年(最大7年)過ぎてしまうと、更正決定ができなくなります(調査をしても意味がなくなる)。
一旦、申告していて税金を払っていないとか、調査を受けていれば話が変わってくるのですが、これだけ見てしまうと「どこまで行っても調査を受ける可能性がある」という捉え方にもなってしまうので、その考えは少しFUDチックだなと思い、今回の記事を書いてみました。
期間制限があるけど正しく申告する必要はある
「どこまで行っても調査を受ける可能性がある」わけではないことは説明しましたが、だからといって申告をせずに逃げ切ろう、と考えることはかなり危ない綱渡りだと思います。
やはり一旦税金をごまかすとその後も目を付けられますし、そういう気持ちで日々を過ごすのは健全ではないな~と感じます。
日本の最高税率が高いことは間違いないのですが、それも含めて稼いでやろう!という気持ちで仕事なりトレードをした方がいい結果が生まれるのではないかなと思います。